Claude of Duty:Claude Opus 5が55,000行のFPSゲームを生成した仕組みとAI開発の教訓
Claude Opus 5(Anthropicの最新AI)がプロンプト1つからThree.js製FPSゲームを生成。55,000行超のコードをAIエージェントが書き上げ、全テクスチャ・メッシュ・サウンドをコードで手続き的に生成。AIによる大規模ソフトウェア開発の最前線事例です。
GitHubで急上昇中の mshumer/Claude-of-Duty をご紹介します。 スター数 1600★ を獲得し、AI分野で注目されているプロジェクトです。
Claude of Dutyとは? — AIが作り上げた55,000行のFPS
mshumer/Claude-of-Dutyは、AI起業家として知られるMatt Shumer氏がClaude Opus 5(Anthropic)を使ってブラウザで動く一人称シューターゲームを構築したオープンソースプロジェクトです。約55,000行のコードが11のサブシステムにわたって構成されており、外部アセット(テクスチャ・音声ファイル等)は一切使用していません。すべてのビジュアルとサウンドはWebGL2とThree.jsを使ってプロシージャル(手続き)生成されます。単なるゲームとしてではなく、AIエージェントが大規模ソフトウェアをどのように構築するかを示すケーススタディとして広く注目されています。
こんな人におすすめ:
- エンジニア向け: AIエージェントオーケストレーションやLLMを使ったソフトウェア開発に興味があるWebエンジニア・ゲームエンジニア・AI研究者が、大規模コード生成の実例と教訓を学ぶ際に参照
- 非エンジニア向け: プログラミング知識が必要なため、エンジニア・研究者向けのプロジェクトです
Claude of Duty AIゲーム:主な技術と特徴
Three.js + WebGL2で構成された11サブシステム
Claude of Dutyは以下の11サブシステムから成り立ちます:
| サブシステム | 担当機能 |
|---|---|
render |
HDRパイプライン、カスケードシャドウマップ、GTAO(大気遮蔽)、TAA |
materials |
GPU手続き的テクスチャ19種(コンクリート・レンガ・金属等) |
sky |
大気散乱・昼夜サイクル・ボリューメトリックフォグ |
world |
約120×120mの市街地マップ・実内部を持つ建物 |
physics |
スクラッチ実装の物理エンジン(BVH・剛体・PBDラグドール) |
player |
移動ステートマシン・スライド・マントル・リーン |
weapons |
手続き的武器ジオメトリ・弾道・リコイル・手続き的リロード |
fx |
GPUパーティクル・デカール・爆発エフェクト |
ai |
スキンドソルジャー・ナビメッシュ経路探索・カバー行動 |
ui |
クロスヘア・ミニマップ・コンパスのDOM/CSS HUD |
audio |
Web Audio合成(音声ファイルなし)・HRTF空間音響 |
外部アセットゼロのプロシージャル生成
このプロジェクトの最大の特徴は「アートアセットが一切存在しない」点です。モデルファイルも、テクスチャ画像も、音声ファイルも使用していません。すべての視覚的・音響的要素はロード時にJavaScriptコードから手続き的に生成されます。これはゲーム開発において前例のないアプローチであり、AIがコードを使って「アートを生成するコード」まで書けることを示しています。
実行方法
npm install
npm run dev # http://127.0.0.1:5173 でアクセス可能
キャンバスをクリックするとカーソルロック。WASD移動・マウス照準・LMB射撃・R再装填・Shiftダッシュ・Ctrl屈み・Spaceジャンプ・Q/Eリーン。
Claude Opus 5 使い方 コード生成 ゲーム:AIが大規模コードを書く方法
プロンプト駆動の開発プロセス
プロジェクトには prompt.md ファイルが公開されており、AIエージェントへの指示書として機能した「マスタープロンプト」を確認できます。また ARCHITECTURE.md はエージェントが作業する際の「契約書」として機能し、サブシステムのインターフェース・ディレクトリの所有権・サブシステム間のイベント語彙・共有データ型が定義されていました。
AIエージェントの品質保証ツール
| ツール | 目的 |
|---|---|
tools/capture.mjs |
ヘッドレスChromiumで特定シーンをスクリーンショット |
tools/baseline.mjs |
再現可能なキャプチャ(フレーム固定・ビット同一) |
tools/imagediff.mjs |
ピクセル差分ゲート(変化あれば非ゼロ終了) |
tools/profile.mjs |
フレーム時間分布とヒッチ原因のプロファイラー |
tools/playtest.mjs |
スクリプト化された移動・射撃スモークテスト |
これらのツールはAIエージェントが自身の変更が視覚的に回帰していないかを検証するために使用されました。
AIエージェント 大規模コード生成 Three.js:開発から得られた重要な教訓
Claude of Dutyの開発過程から得られた、AI開発に携わるエンジニア全員が知っておくべき知見があります。
教訓1: sequential(逐次)はparallel(並列)に勝る
「6エージェントを並列実行した3ラウンド」と「1エージェントが担当領域を逐次処理」の比較実験で、並列実行は +0.46点の改善にとどまり、フレームを壊す欠陥を高止まりさせた(60→47→66)。逐次の単一オーナーパスは +1.00点を達成し、欠陥を66→26に削減。密結合したシステムでは、並列エージェントよりも担当を固定した逐次処理の方が有効という結論です。
教訓2: 中央値より分布全体を見よ
静的カメラベンチマークでは「94fps」と報告されたのに、実際のゲームは「遊べないレベル」でした。1512×982 DPR2(3.34MP実内部)で実際の動きを計測したら12〜17fpsで「728〜1236msの停滞」が判明。真の問題は「WebGLプログラムが34個+フレーム描画中に遅延コンパイルされていたこと」。p50/p95/p99を計測し各ヒッチを特定するプロファイラーが必要でした。
教訓3: エージェントが自分のブリーフに反論するときが最大の成果
「武器がテクスチャされていない」という批評に対して修正を繰り返したが改善しなかった。実は武器はスペキュラー支配で、ディフューズ項が測定値でL=26(実際のゲームのL=67に対して)だったのが原因。前の修正ラウンドでアルベドを下げ続けたことでディフューズが死んでいた。修正は「求められたこととは逆の方向」—アルベドを上げることだった。これは人間レビュアーよりもAIが客観的に見つけたパターンです。
CursorやWindsurfとの違い・なぜ今このプロジェクトが話題なのか
CursorやWindsurfのような「AIを使うIDE」に対して、Claude of Dutyは「AIが書いたコード自体」が対象です。比較軸は:
- Cursor/Windsurf: エンジニアがAIを補助ツールとして使い、自分が主体的に開発する
- Claude of Duty: AIエージェントが55,000行の大規模プロジェクト全体を自律的に構築した事例
GitHub Copilotとの違いは、Copilotが補完・提案に特化するのに対し、このプロジェクトは「ゼロから全システムをAIが設計・実装」した点にあります。特に「ARCHITECTURE.mdをエージェントの契約書として活用する」アプローチは、大規模AIエージェント開発での参考事例として多くの開発者に引用されています。
こんな人に向いている
AIエージェントオーケストレーションを研究するエンジニア
- AIエンジニア・MLエンジニア: AIエージェントに大規模コードベースを生成させる際の「sequential vs parallel」の実験知見は、実際のAIエージェント設計に直接役立つ
- フルスタックエンジニア: 55,000行規模のコード生成がどのような品質になるか、また品質保証ツールをどう設計するかの実例を学べる
- ゲームエンジニア: Three.js + WebGL2での高度なレンダリングパイプライン(HDR・TAA・GTAO)のプロシージャル実装例として参照できる
AI開発の限界を正直に知りたいエンジニア
Matt Shumer氏がプロジェクトに付けた「Honest assessment(正直な評価)」セクションは、AI開発の現時点での限界を赤裸々に記述しています。11人の評価者全員が実際のCall of Dutyを選んだという事実は、AIの現在地を冷静に把握する上で貴重な情報です。
使う前に知っておきたいこと
パフォーマンス要件
最適化前は12〜17fps(Retinaディスプレイ)、最適化後でも28〜30fps(p50)です。フレームレートはApple Silicon Macでの計測値であり、スペックによっては異なる結果になります。WebGL2対応のGPUが必須です。ヘビーなレンダリングパイプライン(GTAO・TAA・HDR等)を実行するため、ゲーミングPC相当のスペックを推奨します。
ライセンスと再利用
MITライセンスのため、コードの再利用・商用利用・改変が自由です。ただしプロジェクトの目的は「ゲームを遊ぶ」よりも「AIがどのように大規模コードを書くかを学ぶ」ことに重点が置かれています。
現時点でのAIの限界
Honest assessmentセクションに記載の通り、現時点では:
- 手のモデリング: 武器を握っているように見えない角張ったスラブ
- マテリアルの豊かさ: 近距離では手続き的ノイズとして見えてしまう
- キャラクター品質: 遠距離でマネキンのように見える
- フレームレート: Retinaで28〜30fps(実際のゲームと比較して低い)
これらは現在のAIの限界を示す正直な評価です。
関連ツール・おすすめサービス
- Perplexity AI — AIを活用した調査・コード理解に最適な次世代検索エンジン
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まとめ
Claude of Dutyは「AIが作れるものの上限を測った実験」です。55,000行のコードを生成し、Call of Dutyとの比較で4〜5点/10点(AMATEURレベル)という正直な評価を公開。AIの可能性と現時点での限界を等身大で示したプロジェクトは、AI開発を真剣に考える全てのエンジニアにとって必読のケーススタディです。特にsequential vs parallel エージェントの実験結果は、AIエージェントオーケストレーションの設計に直接応用できる価値ある知見です。
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